入社後はどんな経験がありましたか?
簿記や税務会計など、全くピンときませんでしたが、それでも、簿記を覚えときは、すごいシステムだと感動しました。ただ、顧客訪問で一つ壁がありました。社長と世間話ができても、その先の税務会計について、何をしたら良いのかわからない。税理士試験にもなかなか受からない時期が続き、勉強も仕事も行き詰まり始めました。
そんな時、トレーナーだった先輩から、「絶対に自己満足になるな。専門用語とかを並べて難しい言葉で仕事をやっている気になるな。お客さんに伝わってこその話だ。逆に言えば、お客さんに受け止めてもらえればそれでいい、それが全てだ。」と言われ、迷いが吹っ切れました。この時、自分を救ってくれたこの言葉は、今でも仕事をする上での大切な教訓になっています。
その後、会計担当者としての月日の中で、たくさんの個性的な社長さんと出会いました。とにかく、信頼関係を築く為に自分がその時できたことは、足しげく足を運ぶことしかなく、そういう中で受け入れてきてもらい、お客さん以上の関係を築きました。自分には向いていないと思い悩み、辞めようと思ったこともありましたが、そんな時、励ましてくれたのも個性的な社長さんたちでした。
所内でも、たくさんの先輩に恵まれました。ある先輩からは、「数字は、税金の為にあるのではなく、お客様自身の為にあるもの。会社のあるべき姿を、お客様自身がリアルタイムで把握しなければならない。」と教えられました。
税理士を目指す原動力は何ですか?
きっかけは、そもそも税務会計の知識が全く無かったので、この仕事をして皆に追いつくためには勉強するしかありませんでした。ただ、会計担当者としての経験を経て、たくさんの社長さんや働く仲間と出会う中で、税理士の仕事の意義を感じるようになりました。
お客様と時間をかけて関係を築き、人間を知っていく過程は、大学で学んだ文化人類学に帰っていくものがあると感じます。文化人類学は生活様式を知る学問ですが、税理士は、お金の動きから、お客様の生活を感じ、生き方と考え方を知る仕事です。人間を知る、という意味では通じるものがあります。とても魅力がある仕事だと今は感じています。
産休と育児休暇を経て復帰し、仕事に対する想いはどんなものになりましたか?
産休、育休を取った時は、本当に仲間の存在がありがたかったです。2回の出産で、どちらも緊急入院となり、事務所の人たちには迷惑をかけました。本当に助かったのは、所長や課長が、私の業務の状況をきちんと把握してくれていた事です。急に休みに入っても自分以上に顧客の状況を掴んでいました。日ごろから相談にも乗ってもらっていたので、共有がきちんとできていました。所長自身が、第一経営で働きながら2人のお子さんを出産し、育児を経てきているのでとても理解が深く、「こちらのことは気にしないで、体を第一にね」とあたたかい言葉をかけて頂きました。規模が大きいからこそ、自分だけでは行き詰まる事でも、一人で抱えず、すぐに相談し知恵を借りる事で乗り越えられる体制があり、安心して働く基盤となっています。
理念の中で一番共感するところはどこですか?
「税制の民主化」という言葉が一番好きです。
税制は、相互扶助の考え方に基づいた優れた制度です。税金があるからこそ、社会は成り立つわけで、税金によって企業活動が潰されるのは本末転倒だと感じます。本来は、それが民主的に機能していれば進んで納税したくなるはずです。この本来の税制のあるべき姿を私は目指したいです。もっと税金の勉強をして、お客様ともそこまで話し合えるような関与ができるようになりたいです。